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音響好きが集まる「サウンドピクニック」に参加してみた

カーオーディオの“聴き比べ”はイベントでこそ面白い

カーオーディオと聞くと、ハードルが高い世界のように感じるかもしれません。専用機材やデッドニング、プロによるセッティングなど、専門性が求められるイメージが先行しがちです。ですが、その世界に気軽に触れられる場があるとしたらどうでしょうか。

「サウンドピクニック」は、カーオーディオファンが集まって、愛車のサウンドを持ち寄り、聴き合うことのできるイベントです。ドレスアップやコンテストではなく、あくまで“聴くこと”を楽しむための場。誰でも参加できるフラットな雰囲気が魅力です。

イベント会場には、軽自動車からSUV、輸入車までさまざまな車種が並び、それぞれが異なる機材構成やチューニングを施しています。同じ楽曲でも、車種やスピーカー、インストールの仕方によって音の表現はまったく異なり、まるで複数のオーディオシステムを体験するような感覚に陥りました。
音を“見る”“比べる”のではなく、“感じる”。そんな価値観の共有が、このイベントの空気をつくっています。

車内は音響空間としてとてもパーソナル

車の中は、オーディオ再生において特別な空間です。家庭のリスニングルームとは異なり、密閉された箱型空間であることから、音が壁で囲まれて逃げにくく、再生する音の密度を高く保つことができます。

サウンドピクニックに参加して感じたのは、参加者それぞれが“自分の音のこだわり”を持っているということです。ある車はボーカルがくっきりと前に出るセッティングで、シートに座った瞬間からまるで歌手が目の前にいるような錯覚を覚えます。

別の車では、低音が床下から包み込むように響き、リズムとともに体を揺らす心地よさがあります。サラウンド感を演出している車では、前後左右から音が降り注ぎ、まるで映画館にいるような臨場感がありました。

こうした違いは、単に機材のスペックによるものだけではありません。スピーカーの取り付け位置や角度、ドアパネルの素材、さらには運転席の高さまで、あらゆる要素が“音の設計”に関わってきます。そして何よりも、オーナー自身が「どんな音が好きか」を明確に持っていることが、音づくりの質を高めているのです。

音でつながる時間がある場所

イベント中、印象的だったのは「音を自慢しない」文化でした。どの車のオーナーも、「俺のが一番」という競争心ではなく、「ぜひ聴いてみて」と自然にドアを開けてくれる空気があります。

聴き終わった人たちは「中音の出方が心地よかった」「音場が広いね」と率直な感想を交わし、お互いの工夫に共感を寄せます。そこには、共通の趣味を持つ者同士の敬意と、音に対する純粋な好奇心が流れていました。

さらに、オーディオに詳しくない初参加者も多く見られ、彼らが「こんな音が車から出るの?」と驚く姿がとても印象的でした。初めてカーオーディオに触れる人にとっても、このイベントは“知識を問われない”心地よい入口になっているのです。

サウンドピクニックという空間は、ただ機材を披露する場ではありません。音楽を媒介に、人と人がつながる場所。カーオーディオに少しでも興味があるなら、一度足を運んでみる価値は間違いなくあります。車の中に広がる音の世界が、きっとこれまで以上に豊かに感じられるはずです。